借入金返済計画の作り方
返済財源と返済期間
長期借入金の返済財源は減価償却費と税引後利益の合計額の範囲ですから、まず利益を出すことが前提となります。
一般に税引前の売上高対利益率は優良企業で3%前後、減価償却費は設備投資の金額によって大きく異なりますが、売上高に対し1~5%程度といわれていますから、返済財源は売上高の3~5%程度ということになります。
上記の割合で返済財源を計算すると、借入金の残高が年間売上高の50%程度で返済期間は10~17年、年間売上高にほぼ見合う金額であれば20~34年という超長期に及ぶことになります。
この期間は中小企業白書で中小企業の借入金のキャッシュフローによる返済期間の平均を20年としていることとほぼ一致します。
つまり経営が相当に改善されても、借入金の残高が年間売上高の50%を越えていれば相当長期間に及ぶことが分かります。
しかし、借りたものは返済しなければならず、超長期に及ぶとしても着実に返済を実行することが重要になります。
借入金の残高を減らすために、事業に不必要な固定資産や資産価値のある動産を売却し、返済に充当することはかなり有効な方策となります。
返済財源をプラスにすること
借入金返済計画は、自社の返済能力と金融機関が求める返済金額とのせめぎ合いです。
ただ金融機関に合せた計画にしたとしても、返済する方に返済するだけの資力がなければ絵に描いた餅になります。
一方、自社の返済能力に合せて50年とか100年かかるような返済計画では金融機関は認めてくれません。
借入金返済計画がメインになるような計画書を策定しなければならない企業の多くは、現時点では返済能力はマイナスになっていることが少なくありません。
そういう場合は1~2年の内にプラスマイナスゼロの状態に持って行くことが第一段階になります。
借入金の返済財源を生み出す方策
① 遊休不動産・動産の売却
事業に使用していない不動産や車両・機械設備があれば売却します。
経営者の自宅も売却します(ただし住宅ローンの残高がある場合は賃貸に出すことも考えます)。
会社が過去に購入した書画骨董や経営者・家族が所有する貴金属などがあれば、それも売却して返済財源とします。
② 経費の削減
損益計算書を見て、勘定科目単位で支出額の多い順に見直しをします。
見直しのポイントは、本当に必要な支出なのか、支出額を減らす方法は無いか、です。
役員報酬は無条件に削減します。削減の下限は従業員並みの金額です。
③ 売上高増加策の取り組み
詳しくは、売上高増加策の作り方をご覧ください。
以上の取り組みで多少なりとも返済財源が確保できるようになれば、次いで安定的に相応の返済財源を確保できるような状態を2~3年後に目指します。
最終的には、現在ある有利子負債を15年程度で完済できるような計画に落とし込みます。