経営改善計画書ある小規模な小売業の企業で、経営者の交代をきっかけとした経営計画の策定を行っています。

 

当社は40年余の業歴を誇りますが、残念ながら売上高は減少し続けています。

大きな理由はかつて成功していたビジネスモデルが使えなくなったことです。

背景は経営者とお客様の高齢化です。

 

当社に限りませんが、事業規模が最も拡大するのは経営者さんの年齢が45歳から55歳頃です。

小規模な企業、特に小売業では経営者さんの年齢とお客様の年齢はほぼ同じになります。

経営者さんが働き盛りになるとお客様も働き盛りの年齢になる、働き盛りの年齢者には消費支出が増加する、したがって企業の売上高も増加するという成功パターンがあります。

 

このパターンは、時間の経過とともに失敗パターンに転化します。

経営者の年齢が高くなるとお客様の年齢も高くなる、そうすると必要とする消費の中身が変わり、働き盛りに必要としていた商品とは別の商品需要が高まるため、かつての成功商品の売れ行きがはかばかしくなくなる、結果売上減少に見舞われることになるのです。

 

今回の取り組みを行っている背景には、

  • 後継者さんが30歳代半ばとなって事業承継適齢期になったこと
  • 現在の商品を販売し続けるという前提では現経営者さんでは対応が難しいこと
  • 現商品の需要構造もかつてとは異なり、新たなアプローチが必要となっていること
  • 従前の商品だけでなく、環境変化に対応した新たな商品提供が求められていること

など4つの理由があります。

現在、後継者さんの経営に対する思いのヒヤリングを行っています。

 

「自分はどんな経営者になりたいのか」

「どんな企業を作っていきたいのか」

「お客様に何を伝えたいのか」

などについて彼自身の思いを整理してもらっています。

 

いずれ後を継ぐという思いはあったようですが、親元で言われたとおりに仕事をしていた彼にとって、自分で自分の会社を作っていくという取り組みは想像以上に難しいようです。

 

同時に経営環境の特徴、人口構成や経済状況から見た市場変化の見通し、今後10年程度の社会的な変化の見通しなどについてレクチャーも行っています。

 

売上高増加策について販売促進策や宣伝広告に関する基本的な知識の提供も行っています。

こうした知識や情報を基に、彼自身の思いを実現させるための10年計画を策定することになります。