経営相談が終わりかけの頃、それまでの悩みが解決して、ほっと一安心という状態の経営者さんの口から「こんなことならもっと早く相談すれば良かった。」という言葉が出てくることがあります。
それまで随分長い間悩んでおられたのに、1~2時間の相談で納得のいく解決策が提示され、これほど簡単に解決するのであれば長い間悩んでいたのはいったい何だったのだろうかという、正直な気持ちだと思います。
そんなとき私は「今がベストタイミングなんです。」とお答えしています。
経営者さんには独特の気持ちがあります。
経営者は、基本的に他人に相談したくありません。
自分がしたくないことをやれと言われるのではないか、自分を否定されるのではないか、という不安をお持ちです。
問題を解決するのは早いに越したことはないのですが、まだ何とかなるだろうと努めて楽観的に考えようとされます。
そんな時点で仮にご相談があり、私が何かご提案申し上げたとしても、その内容が経営者さんにとって好ましいものでなかったら多分受け入れられないと思います。
受け入れられなければ相談する意味もありませんし、私がご提案申し上げた内容は無に帰してしまいます。
経営者さんにとって他人に相談するとは、「もうそれ以外に方法がない」と本人さんが自覚されたときではないかと思います。
少なくとも「自分ではどうにもできない」と実感された時点です。
自分ではどうにも出来ないから他人の意見見聞いてみよう、提案も受け入れてみようという気持ちになられています。
そんな時点がベストタイミングなのです。
ある経営者さんは「こんなに追い込まれる前に相談していればもっと良かったでしょうに。」と仰いました。
しかし、私が「状態が良い時点ではご相談にならないし、仮に相談されても提案を受け入れられないでしょう。だから今がベストタイミングなのです。」と申し上げたら納得されていました。
ただ何かしらの問題を自覚しておられたら、相談時期が早ければ早いほど解決への選択肢も多くなりますし、解決も容易になります。
経営改善計画書の作成も同様です。
困ってからではなく困らないように策定するのが本来のあり方だと思います。